ワイヤー加工機の仕組みとは?作業工程や加工機をプロが解説!

ワイヤー加工機をご存知ですか。
名前は聞いたことがあるけれど、加工できる材質や他の加工機との違いまでは知らない方が多いかもしれません。
そこで今回は、ワイヤー加工機の仕組みや作業工程などについて詳しく解説します。
精度の高い加工機が欲しいという方は、ぜひ参考にしてください。

ワイヤー加工機の仕組みとは?

ワイヤー加工機とは、工作物と走行する細いワイヤー電極との間に発生する放電現象を活用することで、加工を行う工作機械のことです。
ワイヤーは主に黄銅製で直径が0.05ミリから0.3ミリ程度の非常に細いものを使用します。
また、ワイヤー電極は電気を放電させるだけで工作物には接触しないため、システム的には電気を通す性質の材料であれば、どんなに硬い物でも加工できます。
では、どのような流れで加工が完了するのでしょうか。

まずは、マシニングセンタと同じように、加工材料の平坦度と平行度を確かめ、冶具で固定します。
前もって材料が影響を受けない位置にワイヤーを通すための穴を開けておき、冶具を用いてその加工材料をテーブルにセットします。
その後、開けておいた穴にワイヤーを通し、中心出しを行い、事前に組んであるプログラムに沿って加工開始位置までワイヤーが移動します。
プログラムに沿って加工が自動的に始まり、テーブルもしくはワイヤーが移動して、加工材料と非接触で行われます。

高い加工精度を求める場合には、粗取り、中仕上げ、中仕上げ、最終仕上げと計4回加工すると良いでしょう。
最初の段階では強い電流を流すことで、オフセット量(仕上げ面までの残り量)を多く取り、それ以降の段階ではオフセット量と電流を少なくして、加工面を平にしていきます。
粗取り、中仕上げでは加工開始点と終了点は少し離しておき、完全にくりぬかないように加工することが大切です。
このような流れでどんなに硬いものでも、複雑で微細な形状の加工が可能です。

ワイヤー加工機で加工できる形状・材質

ワイヤー加工機で加工できる形状と使用可能な材質をご紹介します!

加工できる形状

仕組みと加工フローについて解説したところで、次は加工できる形状をご紹介します。

まずは、微細加工です。
直径0.05ミリの非常に細いワイヤーを使用し、試験片などに意図的に欠陥をつける微細加工ができます。

細かい加工だけでなく、大型のワイヤーカットも可能です。
ワイヤー加工機があれば、1メートルを超えるような大型のワークもワイヤーカットできるでしょう。
また、プレス金型に用いられる高精度ダイプレートの加工も可能です。
金型の精度の問題を解決したい方におすすめです。

マシニングなどの回転工具を使用すると、角Rが必ずついてしまいますよね。
しかし、ワイヤー加工機を使うことで、角Rがほとんど出ない状態で加工できます。
またリングや歯車などの半割加工も可能です。
ノコだと切断代が数ミリになってしまいますが、ワイヤー加工機では切断代を0.5ミリ以内に抑えられます。

加工できる材質

次は、加工できる材質について見ていきましょう。
基本的に、電気を通す素材であれば、硬いものでも、焼入れされたものでも加工可能です。
ただし、加工後に酸洗いを行うため、銅系の材料は変色してしまう可能性があることを覚えておいてください。

ここからは、加工可能な材質の例をいくつかご紹介しましょう。

難削材

まずは、削りにくく加工がしにくいです。
ダイス鋼、超硬、耐熱合金などの難削材であっても、ワイヤー加工機ならしっかりと加工できます。
また、刃物ではなかなか加工できない高硬度材料の六角穴も加工可能です。
どれだけ硬くても加工できるというのは魅力的ですよね。

試験片

試験片は、熱や切削応力の影響を受けると、正規の材料としての機能が判定できません。
しかし、ワイヤー加工機で切り出すことで、試験片に対しての外的な悪影響が少なくて済みます。
この他にも、さまざまな材質のものを加工できます。
加工でお困りの方は、ぜひワイヤー加工機で思い通りの形に加工しましょう。

ワイヤー加工機とレーザー加工機の違いとは?

ワイヤー加工機で加工できるものについてご理解いただけましたでしょうか。
しかしここまでの説明だけでは、レーザー加工機との違いが分からないという方も多いかもしれません。
そこでここからは、レーザー加工機との大きな違いを4つのポイントに分けて解説していきます。

加工方法

まず1つ目の違いは、加工方法です。
レーザー加工機を使用する場合は、温度が非常に高いレーザー光で工作物を溶かして切り進めます。
一方で、ワイヤー加工機では、放電爆発を繰り返し起こすことによって、高温度の熱を発生させ、切り進めます。
このように、加工する方法が根本的に異なる点を把握しておいてください。

加工機の値段

2つ目の違いは、加工機の値段です。
一般的に、ワイヤー加工機の値段はレーザー加工機に比べて安くなっています。
レーザー加工機は、約2000万から1億円であるのに対して、ワイヤー加工機は1000万から5000万円程となっています。
値段の差がここまで大きいのは意外ですよね。

加工の精度

3つ目の違いは、加工の精度です。
精度においても、ワイヤー加工機の方が優れています。
レーザー加工機の精度が0.05ミリであるのに対し、ワイヤー加工機は0.005ミリと10倍の精度差があります。
ワイヤー加工機があれば、非常に精度の高い加工が行えるでしょう。

加工にかかる時間

4つ目の違いは、加工にかかる時間です。
加工時間に関しては、レーザー加工機の方が優れています。
レーザー加工機が加工をする時間は1分あたり700から10,000ミリであるに対し、ワイヤー加工機は20から500ミリと程度となっています。
しかし、言い換えればワイヤー加工機はミスを決して起こさない、精度の高い加工ができるということです。

まとめ

この記事では、ワイヤー加工機について詳しく解説しました。
加工過程やレーザー加工機との違いについてご理解いただけましたでしょうか。
今回紹介したように、ワイヤー加工機にはあまり知られていない多くの魅力があります。
ワイヤー加工機を検討中の方は、ぜひ当社までお気軽にご連絡ください。

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