素人社員が発信する工業系コラムvol.1【CAD編】

CAD。工業や建築などをはじめとしたモノ創りにおける設計関連の仕事に携わる方であれば、ごく当たり前に使うものですし、関連がない方でも聞いた事はある、ざっくりこんなものというイメージはあるという方は多いのではないかと感じます。
私もその部類に入ります。したがって、実際に説明する・使用するとなるとよく分からない、というのが正直なところです。
そこで、改めて素人目線でCADについてまとめてみました。また、実際にCADを使用している社員も登場し、CADについて語っていただきました。

①CADはどんなところで使われている?

CADを使用する業界は非常に多く、製造業界(精密機械・部品、半導体、自動車など)や、建築関連業界、服飾関連業界など、ありとあらゆるモノつくりに広く使われています。
他業界から転職した私としては、素直に工業関連で使うものだろうと思い込んでおりましたが、服飾関連でも使っていることは知りませんでした。服飾関連業界も製造という面で考えれば、改めて「そうか!」と感じております。
そう考えると、CAD=モノつくりの必須アイテム、CADを使える=広域で必要とされるスキル、と言えます。

②CADって何?

前項の通り、CADは多くの業界で使われている、ということは分かりました。では、そこまで必要とされるCADとは一体どの様なものでしょう。
CAD=Computer Aided Designの頭文字をとった略で、訳すとコンピューター支援設計となります。なんだか難しいです。
簡単に言えば、コンピューターを使って設計するシステム・ソフトになります。

③CADの歴史

調べてみると、アメリカの科学者アイヴァン・エドワード・サザランドによって開発されたSketchpadが原型となり、アメリカ国防省の支援・ロッキード社開発により主に航空機の設計に用いられたCADAM やADAMなどの2D CADから今日に至っております。
また3DCADは1960年代~1970年代初頭に開発された様です。

④2D・3D、汎用・専用の違いとは?

CADにはそのソフトだけでも幾つか種類がありますが、ここではよく目にする「2D・3D」「汎用・専用」の違いについて記載します。

2D・3D CADの違い

これについては、玄人の方々にはもはや説明不要と思われるかもしれません。
ただし、既述の通りCADは多くの業界で使用されているということも含め、その違いには何かしらの意味があるのではと感じて調べてみました。
基本的な違いは、そのままですが2Dは平面、3Dは立体となります。2Dの図面は正面・平面・側面の3面となり、三角法に基づくX-Y-Zの軸から展開したものとなります。

一方、3Dは空間にX-Y-Zの軸による立体を構成するものです。私のイメージしていたCADは、この3Dでした。
2D CADは主に図面の作成を目的とし、3D CADは立体モデルのデータ作成及び2Dの図面を出すことも可能となります。
製作する形状を認識するという事に焦点をあてると、2Dは三角法の図面を見る・分かることが重要となりますが、3Dは立体となるため、どの様な形状なのかを誰でも認識することが容易になります。

価格については、2Dの方が安価となります。

設計においては、2Dと3Dとでは操作や設計自体の手法も違うということですが、手法や操作、これ以降記載の違いについては素人からもうワンステップ以上ランクアップしなければ難しそうです。
それ以外の違いとして、3Dは立体情報、質量や体積などの属性情報を付加することが出来、設計精度が高くなりますが、その分データ容量が大きくなるためPCのスペックが問われます。
製造業においては、特徴の差が工数や製作物の部品同士の干渉などの設計検証にどの様に影響するかという点も知っておく必要があります。

汎用・専用の違い

これも読んで字のごとくです。CADは、汎用と専用に大きく二分されますが、簡単にまとめると、汎用はどの分野でも使える設計機能のCAD、専用は各分野で必要な内容に特化した機能などを付加したCADとなります。
汎用として開発されたものでも、オプションで特化した機能などを追加・拡張して専用CADとして使用することが出来るシステムのものもあります。

⑤実際に聞いてみた! 社員に聞く「CAD」

では、CADについてざっくりと述べてきましたが、ここからは実際に業務上でCADを使用している社員に生の声を聞いてみましょう。
弊社は自動車部品の金型設計・製作が主たる業態となりますが、打ち合わせ・交渉などといった営業的過程を除くと、実際の製作という過程においては納期というゴールに向けたその第一歩目の工程がCADでの設計になります。
そのリードオフマンとしての経験を聞いてみました!

①CAD職人プロフィール


製造部長とCAD課長を兼務する、当社製造における要です。
入社23年目・CAD歴16年目。
趣味は猫・まったりすること・最近はスイーツ作り。聞き手の私が癒やされました!
大学OBの方が勤務していたことをきっかけに入社されました。
入社前は「何となくCADを使ってモノ創りがしたいという程度でした(笑)」と、素人にも優しくぶっちゃける良き先輩です。
今では製造部を背負っておられますが、「入社当時は現場での機械加工で失敗の連続だった。先輩方のお陰で乗り越えましたが、CAM異動後も現場には迷惑をかけまくってました。でも、いつもどうにか現場が楽になるデータ作りをしようと心掛けていた。」ということで、その想いが今のポジションでも役立っている様です。

②CAD初心者の時に苦労したことは?

入社後に機械加工は経験したが、金型の仕上げ・組み立ての工程を行っておらず、部品や磨き合せ易い金型はどういうものかを理解することが難しかったです。CADデータ上ではきちんとした形になっているのに実際加工された物は歪んでいたりしてイメージ通りにならないことも多かったです。

③成功!失敗⤵

金型は昇温して成形するのですが、熱膨張で設計通りに動かなかったり失敗ばかりしていました。

④CADで設計する際、気をつけていることは?

自分で「バリが出にくい型」「現場の人達が加工し易い、作業し易い型」をイメージしてモデリングした物が実際に形に出来る事が魅力です。
お客様を含め、そういったことを喜んで頂いた声を聞いた時は嬉しいですね。
あとは金型や部品などが完成するまでの全工程を自分でコントロール出来ることです。
コスト・品質・納期全てはCADにかかっていると言っても過言ではありません。その分プレッシャーはありますが非常にやり甲斐はあります。

この様に実際に使用している技術者の声を聞くと、金型や部品加工に限らず、CADがもたらした恩恵は非常に大きいことが伝わってきます。

まとめ

今回はCADについて極々簡単なまとめ、実際の使用者の声も記載してみました。CADがモノつくりの設計に必要なツールであること、必要とされる範囲が非常に広域に及ぶこと、全工程の指揮的立ち位置であること、が分かります。
私も落書きレベルの図面ですが、設計図を書いてDIY・工作することがあります。設計図を考える時は、いつも想像が膨らんでいきワクワクが止まらない時間となります。加工という作業の楽しさとはまた違った、空想・想像としての楽しさを享受しているのだと思います。


私は営業・広報に従事していますが、そこでも「準備8割」という表現がよく出ます。
それだけ、段取りをしっかりするということはその後の過程を円滑且つ成功裏に納める重要なポイントだということです。弊社での金型製作におけるCADによる設計も、実際の加工に入る前の準備・段取りと位置付けるならば、その後の工程の良し悪しを左右するものとなります。
設計は、発想やひらめきの次にある、モノ創りの根幹なのではないかと改めて感じています。
次回、素人社員が発信する工業系コラム vol.2では、CADと同様に加工前の重要な工程となる「CAM」について記載していきます。

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