金属加工の種類と加工処理の選び方について 

金属は加工(何かしらの処理を施さねければ)ただの金属のかたまりです。加工することによって金属製品になり、家電や電子機器、自動車部品などに利用されています。
私たちの生活の周りは金属製品に囲まれている、といっても過言ではありません。ほぼすべて の金属製品に金属加工が施されており、近年の工業製品の進化と時代のニーズによって、金属製品は小さく高精度にも作れるようになってきています。
加えて、大量生産、低コスト、短納期に応えるために、さまざまな金属加工技術が各国で開発されています。このコラムでは「金属加工」の種類とその特徴、そして加工をするときにどんな点を重視して選べばよいか?などを解説していきます。

金属加工とは

金属加工とは、製品を作るため、材質である金属に対して加工作業を行うことです。
溶接・鋳造・研磨など、目的に合わせて加工することが必要です。

金属加工の種類

金属加工は下記のように大まかに分類されます。

形を整える金属加工

機械加工

機械加工は大きく分けて3種類

①切削加工
②研削加工
③特殊加工

以上の3つの加工方法です。

 

①切削加工

刃物状の工具を使い、加工物から不要な部分を削り、除去することで形を作る加工法。
幅広い材質が加工でき、精度とコストのバランスがよく、汎用性も高いことから、最も使われている方法です。
旋盤・フライス盤・マシニングセンタ・ボール盤などによる加工が代表的なものです。

フライス盤とマシニングセンタは、旋盤加工、フライス加工共に非常に一般的な加工法のため、家電製品の部品や自動車の部品など幅広い製品に使われています。

 

②研削加工
砥石を使い、加工物から不要な部分を削り、除去する加工法です。切削加工にも似ていますが、砥石で削るためもっと精度を出すことができます。
精度が上がるためコストや時間が切削加工よりもかかります。
このため、切削加工で大半の形を作り、精度が必要な箇所のみ、研削加工を行う場合もあります。
自動車部品や工作機械のスライド部分など、精密な面が必要な箇所に使われています。

 

③特殊加工
切削加工、研削加工のいずれでもない機械加工について、特殊加工として分類しています。
もちろん様々な種類がありますが、(1)放電加工、(2)レーザー加工は代表的な特殊加工です。

放電加工 加工物と電極の間に電圧をかけ放電させて、発生する熱で材料を溶かして形を作る方法。高精度で微細な加工ができること、硬度が高い素材や加工が難しい難削材でも加工ができることが特徴
レーザー加工 加工物に高エネルギーのレーザー光を当て、発生する熱で材料を溶融、蒸発させて形を作る方法です。微細で精密な加工ができることが特徴です。微細な穴あけ、薄板の精密なカットなどに用いられます。

塑性加工

塑性加工(そせいかこう)とは、金属におおきな力を加えて、目的のカタチに変形させる加工のことです。
塑性加工には①プレス加工と②鍛造③転造があります。

 

①プレス加工
板状の加工物に対して、カッターや金型を大きな力で押し当てることでカットしたり金型にあわせて成形したりする加工法。
板材を精密に成形することができ、さまざまな製品に使われます。板材を利用した、車のボディ外板や家電製品など広く使われています。

 

②鍛造(たんぞう)
金属のかたまりを叩いて成形する加工のことです。変形しやすくするように、加工物をあらかじめ加熱することも多く、
テレビなどで包丁や刀を鍛冶屋が温めながら叩いているシーンなどを見たことはないでしょうか。
温度によって熱間鍛造、温間鍛造、冷間鍛造と分類されます。加熱することで強度を持たせられるため、自動車部品(エンジン部分など)をはじめ、ネジ・歯車など強度と安全性がもとめられる部品に使用される場合が多いです。

 

③転造(てんぞう)
円形上の加工物を回したり、転がしたりしながら、成形するためこの名称がついています。ダイスとよばれる工具を押し当てて変形させることでダイス外周にある形状に成形する加工法です。
雄ねじ加工などによく使われます。ホームセンターで見かけるボルトなど、ねじ類が主な製品です。転造には製造方法によってさらに何種類か異なる加工方法があります。

その他

粉末冶金や金属3Dプリンターはカテゴリーで分類できないのですが、
より複雑な形状や従来の加工方法では不可能だった形状の加工ができます。

性質を変える金属加工

金属の性質を変える加工方法には、熱処理と表面処理があります。

熱処理

金属の大きな特徴として、熱処理によって内部の組織とともに形状を変化させ、さまざまな特性を引き出せることがあります。
最も知られている熱処理は『焼入れ』『焼戻し』です。
包丁や刀を製作する途中で、赤々となった部分を勢いよく水に漬けるシーンをご覧になった方も多いでしょう。
これは①焼入れとよばれ、鋼を硬くする熱処理です。
しかし、焼き入れをするだけでは衝撃に対して脆く、衝撃が加わった際に、ガラスのように割れてしまいます。
そこで、適度な粘りを持たせるために②焼戻しを行います。
焼き戻しとは焼入れされた金属材料を比較的低温に再加熱する作業であり、効果はおもに3通り(1)硬度調整、(2)内部応力除去、(3)靭性を高める、です。

低温焼戻し
およそ150~250℃の低温で焼き戻して硬度を出来るだけ下げずに靭性を高め、内部応力を除去して組織を安定させる方法です。硬度と耐摩耗性を重視したい場合の加工法。

高温焼戻し
およそ400~650℃の高温で焼き戻して出来るだけ靭性を高める方法で、一般的に一度だけでなく二度以上行われます。靭性を重視したい場合に行われます。
鋼やアルミニウムを使った製品を中心に、自動車部品や航空機部品など、広範囲に使われています。

 

 

表面処理

表面処理の代表的な方法には、めっきと化成処理があります。

 

①めっき

金属の表面に対して、ほかの金属の薄膜でおおう処理のことです。
さびの発生を防ぐ、美観をよくする、表面を硬くするなど、さまざまな機能を持たせることができます。
ニッケルやクローム、亜鉛などを使うことが多いです。
一般的な表面処理で、家庭用品や自動車部品など、広範囲に使われています。

 

ナット
 

②化成処理

めっきとは異なり、化学的に金属の表面を改質して、さまざまな機能を持たせる方法です。
リン酸塩皮膜処理は広く使われている方法で、さびの発生を防いだり、塗装の下地に使われたりします。
クロメート処理は亜鉛めっきの上に施すことで、さびの発生ぐ加工です。。

自動車や建設機械などの部品に使われています。

加工処理メーカーのかしこい選び方

同じ寸法、特性に作る場合でも、加工方法の選び方次第でコストや時間に
大きな差が生まれてしまいます。各加工法の得意、不得意だけでも理解しておくと選択する際に便利です。

仕上がり

これから頼む場合、数社に見積もりを依頼して「過去に同様のケースを扱ったことがある」業者のほうがノウハウを心得ていて技術もあるでしょう。
可能であれば過去の実績なども聞いてみせてもらうと、より具体的に仕上がりのイメージが湧くでしょう。

コスト

一つあたりいくらの加工賃がかかるのか?
一般的にロットで多く数量を頼むほど一つあたりの単価が下がる場合が多いです。
見積もりの段階で聞いておくとよいでしょう。

 

精度、耐久性や強度

最終的には出来上がってくる製品の仕上がりが満足いくものであることが一番重要でしょう。
求めている精度や耐久性、強度に答えられるのか、見積もりの段階からなるべく細かく希望を伝えるようにしましょう。

 

金属加工のメーカーの場合、
・細かいもの、小さいものの加工が得意なメーカー
・珍しい加工やいち早く最先端の加工技術を取り入れているメーカー
・様々な金属加工がある中、鋳造に特化した業者から熱処理専門メーカー
まで、各社さまざまな特徴があります。
受注可能な素材や製品、加工方法などはメーカーごとに異なるので、依頼前にサイトをチェックしたり、問い合わせてできるか相談してみましょう。

 

持ち込みで金属加工をしてくれる業者の探し方

最近では金属加工してくれる業者をネットで探すことも容易です。
メールや問い合わせフォームから見積もりを無料で作成してくれる業者が多いので
依頼をする際は、まず複数のプロから見積もりをもらい、金額や工期などを含め、見積もりを依頼した業者の提案内容が
自分の条件に合うプロを1社選びます。
契約を結んだら、支払い方法などを確認して、加工を依頼します。納品が終わったら、業者へ支払いをするのが基本の流れです。

個人持ち込みも可能?

業者によって変わります。もちろん個人受けをしてくれる業者もありますが、業者、事業主以外は断られる場合もあるでしょう。

最小ロット(作れる数量)の設定が業者によって違ったり、加工方法によってもロットが違ったりする場合もあります。
個人持ち込みを受け付けている事業者の場合でも、オーダーする数量が少ないと受けてもらえない場合もあります。

オーダーの依頼の仕方や見積もりの方法

金属加工にかかる時間は、作業内容や金属の種類によって大きく変動します。
料金も同様に条件によって変わります。基本的には材料毎の単価、加工毎の単価、送料の単価の合計金額で
料金を設定しているプロが多いです。プロによっては扱う素材の厚さによって細かく価格差があったり、
製造物の大きさによって値段が決まっていたりするところもあるので、
納得がいくような料金設定をしているメーカーを選ぶようにしましょう。

まとめ

金属加工にはさまざまな方法があります。
どの加工方法が自社の求める製品に適しているか?など判断が難しい部分も精密部品加工・調達のSCCへご相談ください。
機械加工や塑性加工、鋳造だけでなく、熱処理や表面加工など用途と目的に合わせて対応いたします。

即日お見積もり対応いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

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