見やすい図面の秘訣
どうもはじめまして。
中野です。
前々回に「お困りごと解決マガジンVol.2」にて弊社、中沢が図面修正についてコラムを作成したのですが、
今回はそれとは違った視点から図面について書かせていただきます。
見やすい図面の秘訣・製造者も喜ぶポイント
- ◆寸法の基準位置が明確なこと
加工する上では寸法の基準位置が明確である事が重要となります。
大概はその部品の基準面から寸法が振られているはずですが、あちこちの面から寸法が入っていると
どこが基準になっているのか迷う場合があるのです。
その部品のどこが大事な場所なのか明確に判った方が作りやすくなりますし、精度も出しやすくなります。
加工する場合の基準面は、旋盤加工品は長手の右端面、フライス加工品は正面図の右上に基準位置があると
寸法の読み替えが少なくなるので作る側からすると判りやすくなります。
- ◆刃物Rを考慮して図面を作成する
形状の奥隅やポケットのコーナー部などには、加工する時に旋盤チップのノーズRやエンドミルの半径部だけ
削り取ることができない部分が発生します。旋盤バイトでよく使用される刃先の半径Rは0.4mmと0.8mmです。
そう、完全な角ではないのです。
もし、先端がそれほど尖っていたなら切削の際に負荷がかかりすぐに欠けてしまいます。
場所や形状によっては、スロッターやワイヤカットなどの、切削加工以外の加工方法を駆使して角を実現することも可能ですが。
詳しい加工方法等は別の機会に紹介いたしますので省略いたします。
そこで、図面指示などで特別に指定しなければならない個所にはR寸法を指示し、他の部位については備考欄などに、
指示無きスミRはR●●~R●●や指示無きスミRはR●●以下などを記載します。
刃物の選択や加工条件に気をつけないと、刃物がすぐに摩耗して、コストや生産性に悪影響を及ぼすこともあります。
- ◆組立て公差が考慮されていること
製品の組立て公差を考慮するのは、実際に部品を組み立てる際に微小な差異が生じることを想定することです。
これにより、部品同士が適切に合うようになり、製品全体の品質が向上します。
・はめあい公差 ・最大最小法
例えば、精密な機械の場合、部品同士の隙間や位置の微妙なずれが、正確な動作に影響を与える可能性があります。
そのため、組図で組立て公差を指定もしくは図示にしておくことで、実際の組み立て作業がスムーズに行えます。
上記の右の図でいえば最大最小法は、単純に部品の公差を足し合わせる方法です。
図では、0.2mmと0.4mmを合わせて、0.6mmとなります。
つまり、合計で50mm±0.6mm(49.4mm~50.6mm)になります。
この考え方を利用すると、組み合わせの理論上の最大値・最小値を考えることができるので、干渉して組み立てられない、
という事態を避けることができます。
製品が複数の部品で構成される場合、各部品の微小な誤差が蓄積する場合があります。
組立て公差を考慮することで、これらの誤差を補正し、最終製品の品質を確保することができます。
- ◆材料の特性と制約
材料の特性と制約を指定するには、製品を作る際に使う素材の性質や制限事項を理解していなければなりません。
例えば、金属やプラスチックなどの材料は硬さや強度が異なるので、加工方法や設計に制約が生じます。
また、材料の拡張率や耐熱性なども考慮すべき要素でしょう。
例えば、高温で使用される部品は、膨張や熱に強い材料を選ぶ必要があります。
さらに、材料のコストも重要な要素です。高価な素材を使う場合、製品の価格が上がるため、コスト面も考慮しなければなりません。
◆私のひとこと
つい最近まで、加工する側でしたが営業本部へ移動となり、部品加工から、検品等がメインとなり図面の見方が変わりました。
恥ずかしながら図面を書くスキルもなく、今回は若輩ながら加工屋目線にてどういう図面が加工しやすい図面が考えみました。
図面は部品を作るための設計図です。
設計者(書いた人)と加工者(作る人)と組み立て者のすべてが図面を通して共通の認識が出来なくてはなりません。
「正しく、誰にでもわかる図面にする」ことが大事だと思います。
今回はここまで。ありがとうございました。
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