なぜ治具を作るのか？私たちは治具をどう作るのか？

製造現場で製品の品質と生産性を左右する「治具（じぐ）」。
一見すると脇役のような存在ですが、工程の安定化・作業の再現性確保・品質のバラツキ抑制など、生産技術の根幹を支える非常に重要な役割を担っています。

平岡工業では、創業以来培ってきた加工技術と現場理解をもとに、**“目的と現場のリアルに寄り添った治具づくり”**を強みとして多くの製造企業を支えてきました。本コラムでは、当社の治具製作について考え方からプロセスまで、深く掘り下げてご紹介します。

1. 治具とは何か ― 平岡工業が考える「治具の本質」

治具は、単に部品を固定したり、位置決めしたりするための道具ではありません。
平岡工業では、治具を “生産工程の課題を解決するための問題解決ツール” と捉えています。

▼ 治具が解決する代表的な課題

• ・作業者ごとの品質バラツキ

• ・加工・組立の工数増大

• ・セット時間の長さ

• ・安全性の確保

• ・測定・検査の効率化

一般的な治具は単機能に見えますが、使う現場・工程・素材・作業者の熟練度など、多くの条件を満たす必要があります。この複雑な条件をまとめ上げ、最適解に落とし込むことこそが、治具製作の価値です。

2. なぜ平岡工業の治具は“使いやすい”と言われるのか

平岡工業の治具は、多くの現場から 「使いやすく、壊れにくい」 と評価されています。その理由は次の3つです。

① 現場でのヒアリングを最重要視

CAD設計に入る前に、実際の作業手順・トラブルポイント・作業者の目線を徹底的に観察します。
“現場で困っていること” を深く理解することが、良い治具づくりの第一歩だと考えます。

② 目的に応じた最適な素材・構造の選定

• ・剛性を重視する治具

• ・作業性を重視する軽量化治具

• ・摩耗に強い治具

• ・調整頻度の高いメンテナンス性重視治具

• 
  など、目的に合わせて構造・材質・仕上げを組み合わせます。

③ 現場目線での「調整しやすさ」

治具は導入されて終わりではありません。
長期使用による摩耗、作業変更などに対応しやすいよう、

• ・微調整機構

• ・部品の交換性

• ・分解のしやすさ

• 
  などを設計段階から織り込みます。

3. 治具製作の流れ ― 平岡工業のプロセス

治具製作には明確な正解があるわけではなく、案件ごとに「最適解」を探す旅のような工程です。
当社では以下のプロセスで治具を形にしていきます。

STEP 1：現場調査・課題分析

• ・実際の作業を観察

• ・既存治具の問題点洗い出し

• ・工程の目的を明確化

ここでの理解が深いほど、良い治具が生まれます。

STEP 2：コンセプト設計

• ・必要な機能の整理

• ・作業者の動き、スペース、強度要求の整理

• ・“どこに価値を置くか” を決定

STEP 3：CAD設計・シミュレーション

2D図・3Dモデルを用いて、干渉・剛性・操作性を検証します。
必要に応じて簡易治具や試作モデルも作成。

STEP 4：加工・組立

社内外の加工ネットワークを活用し、精度とコストを両立。
治具は小さな誤差が品質を大きく左右するため、精密加工の経験が重要です。

STEP 5：現場テスト・調整

“図面通り” ではなく “使いやすい” に仕上げるための最終調整。
現場の声を直接反映し、最適な状態に仕上げます。

STEP 6：納品・フォロー

導入後の運用状況をチェックし、改良提案やメンテナンスにも対応します。

4. 平岡工業が得意とする治具の種類

当社では用途に応じて多様な治具を製作しています。

● 溶接治具

変形対策・固定精度の高さが求められる溶接工程での使用。

● 加工治具

CNC加工機・マシニングセンタ向けのクランプ治具、位置決め治具。

● 組立治具

部品組立の作業効率と再現性向上を目的とした治具。

● 検査・計測治具

製品の品質チェックを効率化し、測定結果の信頼性を高めます。

● 治具改造・オーバーホール

既存治具の不具合改善、長寿命化、使い勝手向上などにも対応。

5. 治具製作は「現場をより良くするものづくり」

平岡工業の治具製作は、図面を描くことでも、加工することでもなく、
“お客様の工程を良くするための提案型ものづくり” です。

• ・作業者が安全で楽になる

• ・品質が安定する

• ・工程が速くなる

• ・トラブルが減る

こうした“現場の変化”を生み出す治具こそ、私たちがつくりたいものです。

6. まとめ

本コラムでは、平岡工業の治具製作に対する考え方とプロセスを紹介しました。

治具は小さな存在でありながら、生産の未来を変える力を持つ。
平岡工業は、その力を最大限に発揮するための最適解を、これからもお客様とともに追求していきます。